52歳の主婦。
1カ月に1回、定期的に受診されていた方。
これまでは大過なく過ごして来られた方。
【経過】
先月受診後、階段を降りるときに足を滑らせた。
幸いにも最後の2段目からだった。
尾骨を強打し、
しばらくは寝返りするのも痛かった。
操体を知っていたので、
随時操体をしていると、
徐々に動きやすくなった。
最後まで残ったのは、
車を降りる時に
息が止まりそうになる位痛かった事。
それも操体をしていると、徐々に良くなった。
しかし、先月末に眼科の定期健診に行った時の事。
待合室で、
頭を前後左右から引っ張られる様な感じがして、
ユ~ラ、ユ~ラと揺れだして止まらず。
医療ビルだったので、
眼科の先生の紹介で、
脳神経外科を受診。
MRIを撮ってもらうと、
頚椎の真ん中辺りで、
3ヶ所が狭くなっているとの事。
投薬を受け、
揺れは止まったが、
左手と左尻の痛みがまだ残っているとの事。
【現在】
自分で操体をされていただけの事はあり、
激痛はなくなっている。
しかし弱いながら、
項の左右と、左肩背、腰の左、
左腕全体にツッパリが見られた。
【操体】
近頃、
ただ“快く立つ”だけで、
いろいろな症状が改善することを確認しているので、
貴女もしてみませんかと誘う。
T:脚を腰幅位開いて、
楽~に立って下さい。
P:・・・
T:両足の裏が、
一番楽に、
何のリキミ感も無く、
地に足が着いていると感じる様にして下さい。
P:動いていいのですね?
T:そうですよ!
一番気持ち良く感じ、
一番落ち着くところを、
動いて見つけてください!
P:・・・これで良いと思います。
T:その何ともないと感じる“その力”が、
足首から下腿の芯に及んでいますか?
P:・・・これで良いと思います。
T:その力が、膝にまで及び、
緊張感もなく、楽に立てていますか?
P:・・・
T:膝が伸び過ぎず、曲がり過ぎず、
本当に無理がなく、一番楽になっていますか?
P:・・・はい!
T:その時の、その快い力が、
膝から太股の芯にも伝わっていますか?
P:・・・はい!
T:股関節から、
右のお尻にも
左のお尻にも、
気持ち良く伝わるように
微妙に動いて調節してみてください。
P:・・・
T:腰の治まり具合いは良いですか?
P:・・・はい!
T:もう1度確認しておきましょう!
足元から、足首、下腿、膝、大腿、股関節、お尻、腰、
全部が気持ちよくつながる様に、
微妙に動いて調整して下さいよ。
足元から、安定感と共に、
一番力まずにスーッと立てていますか?
P:立てているように感じます。
T:そうしたら、
その腰の上に、一つ一つの背骨を
一番安定よく積み上げてゆく様なつもりで
微妙に体を動かして調整してみてください!
P:・・・
T:恥骨を、挙げ気味にしてみたり、
下げ気味にしてみたり・・・
P:・・・・・
T:おなかや胸を、
膨らませ気味にしてみたり、
凹ませ世気味にしてみたり・・・
P:・・・
T:微妙に、右に寄せてみたり、
左に寄せてみたり・・・
P:・・・・・
T:左右の肩甲骨を、
本の少し挙げ気味にしてみたり、
本の少し下げ気味にしてみたり・・・
P:・・・
T:両肩の力をほどよく抜いて、
左右の肘も微妙に動かして調整してみてください!
P:・・・はい。
T:手首や、手の指も、感ずるがままに、
一番快く治まるように、
そして微妙に自由に動かしてみてください。
P:・・・・・はい
T:もう一度確認しておきます。
私はまっすぐせよとは言っていませんよ!
見た目が、傾いていても、捻じれていても、4位のです。
貴女の足元から、
両脚・腰・背骨・肩・肘・手首・全指先に至るまで、
今、一番治まりの良い様に微妙に動いて、
一番楽に立てるように立ってみてください、
と言っているのですよ!
P:・・・これで良いと思います!
T:最後に、
首の重さが一番感じなくなるような状態を、
微妙に動いて見つけてください!
P:・・・・・
T:顎の、出し加減、引き加減は?
P:・・・・・
T:左右の耳の傾き加減?
P:・・・・・
T:目線も、
上下や左右に微妙に動かしてみて、
一番軽くなるような状態に治めてください!
P:・・・・・
T:腰から下の両脚は、
木の根っこのように、
地中に伸びていっている様な
イメージを持つと良いかもしれませんよ!
P:・・・・・
T:腰から上は、
タケノコが伸び伸びと、
天に向かって伸びる様な
イメージを持つと良いかもしれませんよ!
P:これで良いと想いますが・・・
T:足元から、
からだ全体に安定化が行き渡り、
力みも無理も何もない、
本当の快さがからだ全体にも行きわたり、
その状態をしばらく堪能して下さい。
P:・・・・・・・・・
T:堪能したら、
一息入れて、休みます。
P:・・・・・
T:同じことを3回位してみて、
最初にした“動診(立位の前後・左右の屈伸と左右回旋)”をしみて、
どれだけ変化したか見せていただきたいのです。
P:・・・・・・
T:3回、ただ快く、安定良く、
立って頂いただけですよね?
P:はい。
T:この検査結果(専用の観察記録用紙)を
ご覧になってどう思われますか?
P:首も肩も、上腕も、背中も腰もなくなりました。
T:残っているのは?
P:反った時に左肘にほんの少しと、
右手を挙げて右側が伸びた時に左前腕にほんの少しと、
左を振り向いた時に左前腕にほんの少しだけです。
T:人間の体って不思議でしょう!
P: ・・・・・こんなことで何故なくなるのですか?
T:それはね、
あなた自身が、
あなた自身のからだにとって、
気持ち良くなるようなこと(動き)をしたからではないでしょうか?
P:こんなことで良くなるなんて、信じられないような気持ちです。
T:私も最初は信じられませんでしたよ。
ちょっとした気づきがあったものですから、
ひょっとすれば良くなるかもしれないと、
患者さんに協力していただいて、
実験・確認させて頂いたのですよ。
P:本当に信じられないような気持ちです。
T:でも、この事実をあなた自身が確認されたわけでしょう。
P:・・・・・
T:せっかくだから同じことを、
同じように、
もう一度してみませんか!
P:お願いします。
T:ただ、今度は両肘から指先まで、
気持ち良さが行き渡るように動いてみましょう!
P:・・・・・・・・・・・・・・・・
T:足元から、
からだ全体に安定化が行き渡り、
力みも無理も何もない、
本当の快さがからだ全体にも行きわたり、
その状態をしばらく堪能して下さい。
P:・・・・・・・・・
T:堪能したら、
一息入れて、休みます。
P:・・・・・
T:手の先まで気遣いをして、
もう一度“ただ快く立つ”事をしていただきましたので、
どれだけ変化したか
“動診(立位の前後・左右の屈伸と左右回旋)”をしてみて下さい。
P:全く何もなくなりました!
この方の痛みは、
気持ち良くただ立つだけで、
全部が消えてしまいました。
しかし、今までの経験から、
立った状態での症状が消えたとしても、
姿勢や負荷のかかり方を変えてみると完全には消えていないという症例がありました。
そこで時間があれば、
仰向けに寝ていただいて、
足や、手や、首等を動診して頂いたり、
立膝位や、伏臥位になって頂き、
足や、手や、首等を動診して頂いたり、
するようにしています。
この方の場合は、
仰向けに寝て頂いて、
痛くなかった方の右腕を内側に捻っていただくと、
左ひじの内側から小指にかけてビリビヒリッと痛みが走りました。
そこで左肘から下の痛みを指標として、
内側に捻って頂いた右腕を、
どのように動かしたときに、
どのような変化をするのかを自分で確かめてもらいました。
右腕を内側にねじると左前腕の痛みが増える。
右腕を外向きにねじると左前腕の痛みは減る。
この事実を観察し、
ご自身のからだはどっちへ動かして欲しがっているのかを訪ねます。
このようにして、
“からだの意に沿う動き”を自分で見つけ、
“からだの意に沿う動き”を自分でしていただけるようにします。
“快方”へ向けての動きを、
2回して頂いただけで、
全部が消えてなくなりました。
この方は、
「首・肩・腕・背・腰と、
痛みが左に偏っていたものですから、
左が悪いと思っていました」と言われました。
「そして、今、ここで操体をさせて頂いても、
左肘から小指にかけて悪いものと思っていました。
それが仰向けに寝て、
右腕を内向きに捻って時、
左手に痛みが走り、
そのとき初めて右手と左手がつながっていることに気づきました」
と言ってくださいました。
本当に大切な事は、
元々“元気”が身に備わっているのですし、
本来の快は“(不快等が)無”なのですから、
改めて“動診”をしたり、
改めて“操体”をしたりする必要さえ無いのかもしれませんね。
でも、
その真理に気づくには、
まだまだ踏みしめて行かねばならない
道のりが有るのでしょうね。
この大切なことを、
より多くの方たちに体験していただき、
実感していただきたいと切に願っています。 合掌
PS.
ご質問や、
ご意見があれば、
どしどしお寄せ頂けると、
私も書きやすくなります。
どうか宜しくお願い申し上げます。
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