93歳になる母の介護をしていて教わった事。
現在、
心不全と、
甲状腺腫瘍(左)とともに、
老齢の母は寝込んでいる。
4年ほど前だったと思うが、
心不全が悪化して入院して以来、
体の右を下にして寝るようになった。
退院してからも、
右を下にして寝ていると、
テレビを見たり話しかけたりしやすいからだと
勝手な解釈をしていた。
今年の正月に入ってから、
急に体力が衰え、
食事とトイレ以外には座ることさえない。
いつも右を下にして寝ているので、
床ずれの一歩手前までなっていた。
母が薬剤師であるとともに、
子どもや孫に医療の専門家の多く、
「いつも同じ所が当たらないように、
時折体位を変えた方がいいよ」と注意を受けていた。
高齢ながら、
母の頭は極めてしっかりしていて、
尿等を漏らしたりするという粗相を
絶対したくないという気が明らかにうかがえる。
そのためか、
昼夜を問わず「オシッコがしたい」と、
たびたび声がかかる。
抱き起こして排尿・排便をさせると、
「あぁ、間に合った! 助かった!」と言う。
オシッコに度々起きなくてもよいように
「留置カテーテル」を入れたらと勧められると、
「絶対イ感!」と拒否する。
ある夜、
母が「今日は左を下にしてみてみる」と言って寝た。
例のごとく、
寝入ってしばらくは
1時間に1回ぐらいの割合で起きていた。
夜中の3時ごろだったと思う。
突然呼吸の乱れがして、
手足も冷たくなり、
力も絶え絶えになった。
これはただごとではないと
漢方薬(茯苓四逆湯)に牛黄末を浮かせて飲ませた。
それらを飲ませたうえで、
操体法の考えを活かし、
体のあちこちを動かしてみて、
一番楽になる体位を探した。
右手を動かしたり、
左手を動かしたり、
右足を動かしたり、
左足を動かしたり、
顎や首はもちろん、
肩・背中・腰・お尻に至るまで、
少しずつ微妙に動かして探った。
2時間少々そのようにしていたと思う。
やっと母の寝息が安らいで落ち着いてきた。
そのときの姿を見てハッとした。
なんのことはない、
今まで毎晩そうしていた寝姿なのである。
“寝相が悪い”と言う人があるが、
“病状が悪い”からこそしている、
“その時の一番楽になるポーズ”だと確信した。
“見た目が悪い”とか、
“印象が悪い”という事は、
人の勝手な解釈であることが多いのではないだろうか?
要は、
病状が悪ければ悪いほど大切なことは、
その人の、
その時の、
身も心も一番安らぐ「身の置き所」を
確保することにあるのではないだろうか?
願わくば、
その上に「仮にほんのわずかであったとしても、
快くなる方を動いて探りやすい状態にする」ことが
極めて大切なことだと痛感している。
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